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2023/05/27 17:50

茗荷紋:香り高き花の象徴として輝く家紋の由来


茗荷紋は、ショウガ科の多年草であるミョウガの花を図案化した家紋です。その形状は、馬具の一種である杏葉紋に似ており、杏葉紋が変化して生まれたとも言われています。茗荷紋の中でも特に「花茗荷」は、ミョウガではなくショウガ科ハナミョウガ属のハナミョウガをモチーフにしたものです。

茗荷紋は日本十大家紋の一つであり、紋様のバリエーションは70種類以上ありますが、ほとんどの使用例は「抱き茗荷」やその中に丸を配した「丸に抱き茗荷」です。

この紋は戦国時代以降、天台宗の摩多羅神の神紋としても用いられました。茗荷紋が家紋として使用された初見は、二宮氏によるものです。また、茗荷の音が「冥加」と通じることから、茗荷紋は神社や寺院などで縁起の良い紋章として広く用いられてきました。

摩多羅神は天台宗の円仁によって唐からもたらされた神であり、比叡山延暦寺やその末寺、さらには神社や寺院などで崇敬されています。特に日光東照宮では、摩多羅神を祀ることから、祭礼の御輿には茗荷紋が付けられています。このことがきっかけとなり、茗荷紋の使用は日光東照宮をはじめとする様々な場所で広まりました。

また、摩多羅神は秦氏の総鎮守である大酒神社とも関係が深く、その縁から藤原氏系統の家々で茗荷紋が多く見られます。

茗荷紋は香り高き花の象徴として、多くの家系で愛されてきました。その美しい形状と縁起の良さから、茗荷紋は家族の調和や幸福を願うシンボルとして重要な役割を果たしています。また、摩多羅神や日本の伝統信仰と結びついた茗荷紋は、日本の文化や歴史においても欠かせない存在です。茗荷紋の美しさと由来は、今なお多くの人々に感銘を与え続けています。