名字は、福田という地名から派生しています。福田とは、僧侶や貧困者、両親などに布施をする田地のことを指します。この名字は、関東地方や中国、九州地方でよく見られます。特に栃木県では、人口や密度の面でも最も多い名字です。

福田氏の中でも、上野国には武蔵七党の一つである児玉党に属する一族がいます。彼らは倉賀野十六騎の一員でもありますが、在原姓長野氏の一族であるという説もあります。

下野国では、福田氏は藤原秀郷流の久賀氏から分かれています。相模国の福田氏は、桓武平氏渋谷氏の一族であり、陸前国にも分布しています。九州では、大蔵氏族笠間氏から福田氏が派生し、高橋氏に仕えて岩屋城で主君に忠義を尽くしました。また、因幡国には、津ノ井郷を領し、香取城を拠点とした起源不明の福田氏も存在しました。

福田氏の代表的な家紋には、「左二つ巴」「丸に五三桐」「丸に五本骨扇」などがあります。

特に扇紋は、その形状から吉兆や神聖な存在として扱われ、風を送る役割や守護的な意味合いを持っていました。扇紋は人気のある図案であり、バリエーションも豊富です。扇は元々は涼を取る道具でしたが、古代には神霊が宿ると信じられていました。扇の語源はアフギであり、「風を送り神霊を招く」という意味を持っています。扇を所有することは一種の厄除けともされました。戦国時代には、武将たちが軍扇を持ち、全軍を指揮することで勝利を祈願したのです。また、扇は「末広」とも呼ばれ、将来の繁栄を意味しています。この家紋は幸運を象徴しているのです。