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2023/05/26 18:23



鈴木氏は、昭和時代までは日本一多い名字とされていましたが、最近の詳細な集計により、その座を佐藤氏に明け渡しました。しかし、鈴木氏は愛知県以東、特に東海地方に広く分布しており、愛知県から茨城県までの海岸沿いの都県や埼玉県、栃木県では佐藤氏を上回り、第1位の名字となっています。

鈴木氏の本姓は穂積氏で、物部氏から派生した石上氏とも同族です。熊野地方では、刈った稲穂を山積みにした姿を「ススキ」と呼び、それが鈴木となりました。つまり、「穂積」と「鈴木」は同じ意味を持つ異なる音です。発祥地は奈良県天理市前栽町付近の大和国山辺郡穂積郷で、稲作に適した土地であったと考えられます。

千翁命が神武天皇に千束の稲を献上したことにより、穂積の姓が授けられたと伝えられています。穂積氏は大和朝廷に仕える一族であり、熊野速玉神社の神職である穂積国興の子基行が鈴木氏を名乗り、鈴木姓の祖となりました。平安時代末期には、源義経に従う武士として鈴木三郎重家が登場し、義経と共に奥州衣川まで戦い、討ち死にしました。

鎌倉時代以降、熊野信仰が東日本に広まると、鈴木氏も神官として各地に赴任しました。鈴木氏の家紋は主に稲紋が使用されています。稲紋は鈴木や穂積と同義であり、日本という国の象徴として用いられています。さ

らに、幣紋や鳥紋なども熊野信仰と関連があります。梛紋は熊野大社の御神木である梛の木に由来し、他にも下がり藤や木瓜、違い鷹の羽、片順紋なども見られます。代表的な家紋は「違い幣」「丸に二つ鈴」「抱き稲」です。稲は日本人にとって身近な存在であり、家紋や装飾のモチーフとして広く愛されています。